Japanese
English
増大特集 加齢とリハビリテーション
第2部 健康と障害への影響
1.健常者の加齢の問題 5)高年齢労働者と労働災害
Occupational accidents of older workers
伊藤 英明
1
,
松垣 竜太郎
2
,
佐伯 覚
1
Hideaki Itoh
1
,
Ryutaro Matsugaki
2
,
Satoru Saeki
1
1産業医科大学医学部リハビリテーション医学講座
2産業医科大学医学部公衆衛生学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
2Department of Preventive Medicine and Community Health, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
加齢
,
高年齢労働者
,
労働災害
,
転倒
,
体力低下
Keyword:
加齢
,
高年齢労働者
,
労働災害
,
転倒
,
体力低下
pp.621-627
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202526
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はじめに—人口の高齢化と労働人口の高齢化
わが国の総人口は2020年10月1日現在,1億2,571万人である.65歳以上人口は3,619万人となり,総人口に占める割合(高齢化率)も28.8%となった.65歳以上人口のうち,「65〜74歳人口」は1,747万人(総人口の13.9%)で,「75歳以上人口」は1,872万人(総人口の14.9%)であり,65〜74歳人口を上回っている(表1)1).65歳以上人口は1950年には総人口の5%に満たなかったが,1970年に7%を超え,1994年には14%を超えた.高齢化率はその後も上昇を続けている.15〜64歳人口は1995年に8,716万人でピークを迎え,その後減少に転じて2020年には7,449万人(総人口の59.3%)となった.
総人口は長期の人口減少過程に入っており,2029年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け,2053年には9,924万人となり,2065年には8,808万人になると推計されている.その2065年には高齢化率が38.4%に達して,国民の約2.6人に1人が65歳以上の者となり,約3.9人に1人が75歳以上の者となる社会が到来すると推計されている1).それに従って今後労働人口も高齢化することが予想されている.
総務省の労働力調査2)によれば,2020年の平均就業者数は6,676万人と前年に比べて48万人減少し,8年ぶりの減少となった.そのうち15〜64歳の就業者が61万人減少したのに対して,65歳以上の就業者は14万人増加して906万人と,年々増加傾向にある.
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