Japanese
English
増大特集 加齢とリハビリテーション
第2部 健康と障害への影響
1.健常者の加齢の問題 4)高齢者の外傷
Traumatic injuries in the older people
北村 新
1
,
大高 洋平
2
Shin Kitamura
1
,
Yohei Otaka
2
1藤田医科大学保健衛生学部リハビリテーション学科
2藤田医科大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座
1Faculty of Rehabilitation, Fujita Health University School of Health Sciences
2Department of Rehabilitation Medicine I, Fujita Health University School of Medicine
キーワード:
外傷
,
転倒
,
転落
Keyword:
外傷
,
転倒
,
転落
pp.611-619
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202525
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はじめに
高齢者は,加齢に伴う心身機能の低下,多種の併存疾患,内服薬の副作用などの背景もあり種々の外傷発生率が高い.また受傷後は,原疾患の治療に時間を要するのみでなく,安静に伴う廃用症候群の進行により,さらなる機能や能力,活動性の低下を引き起こし,生活の質(quality of life:QOL)を大きく低下させる.また,入院や手術などの医療費,要介護状態になった際の介護保険費用などの経済的負担は大きい.高齢者の骨折として代表的な大腿骨頸部骨折を例に挙げると,1人あたりの治療費は約140〜200万円であり,2012年の年間推定患者数にかけ合わせると,1年で約2,660億円もの医療費の発生が推計されている1).
日本は,類を見ない速さで高齢化が進み,現在では超高齢社会を迎えている.少子化とともに,平均寿命が伸びたばかりでなく医療の発展の恩恵を受けて健康寿命も延伸しており,高齢者の活動性は以前に比べて向上している.しかし,活動性の向上は健康の証である一方で,転倒などの外傷が発生する機会をも増やす.どのように高齢者の活動性を保ち,健康寿命のさらなる延伸をめざしながら外傷を予防していくかは,超高齢社会であるわが国にとって重要な命題である.
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