Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「終わりの見えない闘い 新型コロナウイルス感染症と保健所」—<全体の奉仕者>としての公務労働者の健在ぶりを示す
二通 諭
1,2
1札幌学院大学
2札幌大谷大学
pp.431
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202484
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憲法第15条に示されているように,「すべて公務員は,全体の奉仕者であって,一部の奉仕者ではない」のだが,昨今の公文書改竄,統計不正など,それに逆行する事件が続発.常々「ぼくの契約相手は国民です」と語っていた財務省近畿財務局の職員が,公文書の改竄を強要されたことから,精神に変調をきたし,自死に至るという不条理も,壊れゆく社会を象徴しているかのようだ.それゆえ,公務労働者の健在ぶりを写し出した「終わりの見えない闘い 新型コロナウイルス感染症と保健所」(監督/宮崎信恵)は,希望の一筋の光.
本作は,東京都中野区保健所の保健師,医師らを被写体とする新型コロナウイルス感染症の第1波から第3波までのドキュメンタリー.開巻一番,入院先が確保できなくなった第3波・2021年1月,保健所長が「自宅療養者を死亡させない」と呼びかける.ここから時間は,第1波の2020年4月へ飛び,第2波の7月,8月,第3波の冬場へと進んでいく.これは,状況の悪化,「負け戦」に,精神性の高さとチーム力で抗う過程でもあった.
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