Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ブレヒトの『ガリレイの生涯』—ペスト流行下の科学者
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.814
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202294
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1938年にブレヒト(1898〜1956)が書き上げた戯曲『ガリレイの生涯』(岩淵達治訳,岩波書店)には,17世紀のフィレンツェでペストが流行した時のガリレオの行動が描かれている.
この戯曲の第5幕は,フィレンツェにあったガリレオの家を,修道院に入っていた娘が訪れるという場面で始まる.娘は,早朝から望遠鏡を覗いていたガリレオに向かって,「修道院は閉鎖されたの.私たちはすぐ家に帰るようにいわれたわ.アルチェトリでペストの患者が5人でたんですって」,「この市場小路も昨日の夜からもう通行止になっているのよ.旧市内では死人が2人でて,3人は病院で死にかけているんですって」と告げたのである.
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