Japanese
English
症例報告
完全側臥位法導入で経口摂取に至ったくも膜下出血の1例
A case of subarachnoid hemorrhage that can be taken orally with the introduction of the complete lateral position method
染谷 明徳
1
,
靍見 祐子
2
,
靍見 有史
2
Akinori Someya
1
,
Yuko Tsurumi
2
,
Arihito Tsurumi
2
1つるみ脳神経病院リハビリテーション科
2つるみ脳神経病院
1Department of Rehabilitation, Tsurumi Hospital
2Tsurumi Hospital
キーワード:
完全側臥位法
,
くも膜下出血
,
経口摂取
Keyword:
完全側臥位法
,
くも膜下出血
,
経口摂取
pp.773-776
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202015
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要旨 【はじめに】送り込み障害を呈したくも膜下出血症例に完全側臥位法による直接訓練を施行し,3食経口摂取可能となり良好な結果を得たため報告する.【症例】80歳台女性で,頸部痛が出現した翌日に前医を外来受診した.くも膜下出血と診断され,つるみ脳神経病院転送後,緊急でコイル塞栓術を施行し入院加療した.言語聴覚士初回評価では,会話は可能で,Mini Mental State Examination 22点,レーヴン色彩マトリックス検査29点であった.【臨床経過】4病日に脳血管攣縮により両側前頭葉梗塞を発症した.38病日に脳室-腹腔シャント術を施行した.42病日のリクライニング位での嚥下造影検査では,すべての検査食で奥舌付近に食塊が貯留し舌運動が停滞した.頭頸部の筋緊張は亢進し,前屈,回旋などは困難であった.81病日に完全側臥位姿勢で直接訓練を開始した.91病日の完全側臥位姿勢での嚥下造影検査では,全粥,刻み食に対する送り込みに改善を認めた.102病日に3食経口摂取を開始し,第110病日に転院した.【考察】口腔期障害の直接訓練では,体幹角度調整を用いることが一般的であるが,今回の症例は,リクライニング位で頸部や身体全体の緊張が高まり送り込み障害を助長したと考えられた.完全側臥位法による直接訓練は,送り込み障害を呈し筋緊張が亢進している症例に有効である可能性が示唆された.
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