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はじめに
脳損傷患者のリハビリテーションは急性期病棟から始まり,回復期リハビリテーション病棟を経て退院し,介護保険の訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションを利用することが標準的なコースであろう.
医療・介護保険制度を踏まえると,回復期リハビリテーション病棟への入院当初から2つの制度にわたるリハビリテーション提供をワンパッケージとして捉える計画が求められる.どこまでを入院で行い,退院後は何を行うかを入院中から検討することが必要である.
入院中は,カンファレンスのたびに予後の推定や目標を見直し,家屋評価や外泊などの情報に基づいて計画の修正などを行う.そして在宅でのリハビリテーションの見込みをまとめていくことになる.退院後は入院中の情報に基づき,安定した生活や社会的交流の拡大を目指した取り組みを行う.患者・家族も含めた意思疎通や合意において,リハビリテーション提供の全体の見取り図を示しつつ「目標の実現に自宅で行うことは○○」というような提示の仕方が必要となる(図1).
リハビリテーション提供側が国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health;ICF)における活動や参加レベルを主眼と考えていても,本人が機能障害への取り組みに固執している場合も多くある.カンファレンスなどで本人も交えて話し合ったとしても,容易に納得を得られるわけではない.
回復期リハビリテーション病棟の全国の平均在院日数は70日前後と考えられる1).この程度の在院日数では,症状が完全に固定してから退院する患者がすべてではない.痙縮や中枢性疼痛が退院後に顕在化することもまれではない.また,自宅退院後の症状の変化や小さな出来事に不安になったり,抑うつ的になったりする患者も多い.生活期のリハビリテーションにおいても専門職の関与が求められる.
本稿では,坂総合病院(以下,当院)の訪問リハビリテーションの取り組みの概要と事例を提示しつつ,訪問リハビリテーションにおける留意事項を論じる.
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