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はじめに
高齢者とは何歳以上の方を呼ぶのだろうか.世界保健機関(World Health Organization:WHO)では65歳以上を高齢者と定義づけているが,日本では行政上の目的により,異なっている.例えば,「改正道路交通法」では70歳以上を高齢者とし,高齢者講習の受講を義務づけている.2022年5月13日より,75歳以上で一定の違反歴がある者に対して,免許更新時に運転技能検査を受講することが必要になり,高齢者の特性等に応じたきめ細かな対策が強化されたことも記憶に新しいだろう.「高齢者の医療の確保に関する法律」(昭和57年法律第80号)では,65歳以上を高齢者としたうえで,65〜74歳を前期高齢者,75歳以上を後期高齢者と定義づけている.
一方,スポーツ庁や種々の調査報告から,現在の高齢者は,約20年前と比較して加齢に伴う心身機能の変化の出現が5〜10年遅延1)しており(図1)2),健康寿命も伸びている(図2)3).日本老年学会・日本老年医学会の高齢者に関する定義検討ワーキンググループ4)にて近年高齢者の老化現象に関する種々のデータの経年的変化を検討した結果,「75歳以上を高齢者の新たな定義とする」ことの提案がなされた.このような背景により,高齢者について,現在は65歳から75歳未満と75歳以上に分けて議論されることが多くなった.
本稿では高齢者を取り巻く現状を整理・確認したうえで,高齢者における訪問リハビリテーションの課題と今後の展望について考えてみたい.
訪問リハビリテーションは,病院・診療所・介護老人保健施設などから出向く理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(以下,PT・OT・ST)の訪問と訪問看護ステーションから出向くPT・OT・STの訪問があり,どちらも利用者の生活機能の維持・改善を図るうえで重要な資源である.制度上は,前者を訪問リハビリテーション,後者を訪問看護と位置づけられているため,本稿では制度上の位置づけで呼称を区別する.なお,高齢者については,65歳以上の者と本稿では定義づけを行い,年齢による区別が必要な場合には年齢階級に分けて示すものとする.
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