連載 印象に残ったリハビリテーション事例
あなたに会えて良かった—ラストダンス
稲川 利光
1
,
首藤 哲也
2
,
谷 賢哉
2
1原宿リハビリテーション病院
2NTT東日本関東病院リハビリテーション科
キーワード:
急性骨髄性白血病
,
がんのリハビリテーション
,
終末期のリハビリテーション
Keyword:
急性骨髄性白血病
,
がんのリハビリテーション
,
終末期のリハビリテーション
pp.1133-1135
発行日 2019年11月10日
Published Date 2019/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201805
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はじめに
急性骨髄性白血病の診断で入院加療となった患者さんのリハビリテーションを担当させていただいた.
この患者さんは,余命宣告をされ,重い病状を背負いながらも,最期まで自分らしく生きようとされた方である.亡くなるまでの半年の間,ご本人の希望に向けて,私たちが取り組んだ経緯を述べる.そこには,人の生きざまに添うリハビリテーション医としてのひとつの大切なかかわりがあるように感じている.
忘れることのできない,患者さんである.
なお,本報告にあたっては本人およびご家族の同意を得,写真などの提示に関しても了解をいただいている.
症例:松本 信夫さん(仮名),男性,1943年生(75歳).
診断:急性骨髄性白血病.
職業:元銀行の支店長.保険業の会社社長を経て,現在プロダンサー(2018年より休職).
家族背景:奥さんと二人暮らし.二人の娘さんが近隣に在住.
現病歴:1996年発症の本態性血小板減少症あり.2017年11月より血小板が著しく減少.2018年5月,骨髄検査にて急性骨髄性白血病と診断され,6月初旬よりNTT東日本関東病院に入院となった.
入院後経過:入院時の胸部X線検査では,白血病病変による癌性胸水の所見あり.労作時の呼吸苦にて日常生活動作(activities of daily living;ADL)は縮小.短い距離であれば病棟内の歩行は何とか可能であった.入院後,種々の薬剤が試みられたが効果はなく,症状緩和の方針となった.
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