特集 進歩する低侵襲手術に応じた理学療法—治療プログラム,目標設定,リスク管理
Women's Health領域の低侵襲手術と理学療法
渡辺 典子
1
,
加藤 友康
2
Noriko WATANABE
1
,
Tomoyasu KATO
2
1国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院骨軟部腫瘍・リハビリテーション科
2国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院婦人腫瘍科
キーワード:
婦人科がん
,
腹腔鏡手術
,
がんのリハビリテーション
Keyword:
婦人科がん
,
腹腔鏡手術
,
がんのリハビリテーション
pp.206-210
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202582
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はじめに
Women's Healthとは,女性特有の身体の構造や役割,性差に注目した大切な医療分野の1つである.日本では2007年に施策された「新健康フロンティア戦略」にて,女性が生涯を通じて健康で明るく,充実した日々を自立して過ごすことを総合的に支援する社会づくりをめざすことが提唱された.2008年には「女性の健康週間」が創設され1),女性特有の健康問題の1つである,子宮頸がんや乳がんの予防や早期発見が重要視されるようになった.
2018年の女性のがんの罹患数(全国推計値)第1位は乳房,子宮は第5位であるが子宮のがんは近年増加傾向にある2).子宮頸がんの発症は40歳台が最も多いが,最近は20歳台後半から30歳台の発症率が増加している.子宮体がんは45歳以降で増加し,50歳台が最も多いが30歳台で発症することもある.早期発見により適切な治療を受けることで治癒も可能で,5年相対生存率(2009〜2011年診断例)は子宮頸がんで75%以上,子宮体がんは80%以上である2).
婦人科がんの治療法には,手術療法,薬物療法,放射線療法があり,がんの種類,病期,全身状態,患者の意思に基づき,それぞれの治療法が単独または組み合わされて行われる.
多くの患者は病名を告知され,治療や予後,日常生活や社会生活に対する不安を抱える.女性特有の臓器を失った心理面への配慮をしつつかかわることが重要である.
本稿では,女性特有のがんである,婦人科がんにおける① 低侵襲手術の特徴,② 低侵襲手術後の機能障害と合併症,③ 低侵襲手術後のリスク管理と理学療法,④ 今後の課題と展望,について述べる.
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