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はじめに
医療が「治す医療」から「治し支える医療」へと,生活機能を捉えた医療へ変遷するなか,2025年を目途に構築が進められている地域包括ケアシステムに向けて,作業療法士は,治療技術の向上,多職種連携,マネジメント能力が求められている.
法令に記載されている作業療法による応用的能力と社会適応能力の回復を図るため,作業を用いた回復・援助・支援を行う.また,国際障害分類(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps;ICIDH)から国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health;ICF)への転換を受けて,健康状態と背景因子との相互作用,複合的な関係の観点を配慮したうえで,基本的視点である「活動と参加」を促進するための包括支援の明確化が求められている.
日本作業療法士協会(以下,当会)は,「人は作業を行うことで元気になれる,健康になれる」という作業療法の考え方を示し,国民の健康と幸福の向上に寄与するために,作業の価値やその効果について改めて周知を図り,多職種との連携を一層深めていきたいと考えている.
そのため,ICFの概観を踏まえた作業療法実践のためのツールとして生活行為向上マネジメント(management tool for daily life performance;MTDLP)を推進し,その効果を蓄積しているところである.
MTDLPは利用者のしたい生活行為(作業)に焦点を当てた作業療法を遂行するためのツールであり,利用者の主体性,多職種連携,作業の連続性,生活のマネジメントなどの要素が含まれている.
本稿では,わが国の作業療法の変遷に触れ,MTDLPを活用した研究事業を紹介し,これからの作業療法を展望する.
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