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特集 摂食嚥下リハビリテーションの未来—各専門職に何ができるか
作業療法士にできること
What can occupational therapist
植田 友貴
1
Tomotaka Ueda
1
1西九州大学リハビリテーション学部リハビリテーション学科作業療法学専攻
1Faculty of Rehabilitation Sciences, Nishikyushu University
キーワード:
食事
,
専門作業療法士
Keyword:
食事
,
専門作業療法士
pp.735-740
発行日 2019年8月10日
Published Date 2019/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201712
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はじめに
食事とは,生きるためのエネルギーであると同時に人生の大きな楽しみの1つであるともいえる.筆者の経験ではあるが,担当させていただいた長期入院中の方から,「入院生活では食事が一番の楽しみ」との声が聞かれることも多い.
では,「食事」の具体的な定義とはなんだろうか.われわれセラピストが多用する機能的自立度評価表(Functional Independence Measure;FIM)では,食事とは「食事が適切に用意された状態で,適当な食器を使って食物を口に運ぶ動作から咀嚼し嚥下するまでが含まれる」と定義されている1).つまり食事とは食物の認知(先行期),食事動作,口腔内取り込み・咀嚼・食塊形成(準備期),食塊の送り込み(口腔期),嚥下反射(咽頭期),蠕動運動(食道期)までを含めた包括的な表現であるといえる.そして,口腔内に食物が入るまでが,認知期を含む食事動作期であり,それ以後が摂食・嚥下運動期である2).この一連の過程のどこかが傷害されるだけで容易に摂食嚥下障害に陥ってしまうことも多い.実際に摂食嚥下障害を呈する疾患としては,身体障害では脳血管疾患や神経筋疾患をはじめ,整形外科分野や精神障害分野でも摂食嚥下障害を生じる3〜6).
つまり,作業療法士の臨床業務では摂食嚥下リハビリテーションの視点をもつことは必須であると考えられる.
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