Japanese
English
特集 摂食嚥下リハビリテーションの未来—各専門職に何ができるか
言語聴覚士にできること
What speech-language-hearing therapists can do
長谷川 賢一
1
Kenichi Hasegawa
1
1東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科言語聴覚学専攻
1Speech-pathology and audiology Course, Department of Rehabilitation, Faculty of Medical Science and Welfare, Tohoku Bunka Gakuen University
キーワード:
摂食嚥下障害
,
発声発語機能
,
嚥下機能評価
,
機能回復訓練
Keyword:
摂食嚥下障害
,
発声発語機能
,
嚥下機能評価
,
機能回復訓練
pp.741-746
発行日 2019年8月10日
Published Date 2019/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201713
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
人口動態統計によると,肺炎は1947年以降低下傾向にあったが,高齢化の進展により1973年以降から上昇に転じ,2011年には脳血管障害を抜いて死因の第3位となった1).
肺炎は高齢者に多く,65歳以上が約8割を占める.その多くが誤嚥性肺炎によるもので,諸家の報告にもよるが70歳台では約7割,90歳台では約9割とされる(図1)2).また,原因疾患としては脳血管障害が最も多く約6割を占める.そのほかには変性疾患,認知症,頭頸部腫瘍,脳性麻痺,廃用症候群など多岐にわたる.
高齢者や摂食嚥下障害例では低栄養状態が認められることが少なくないが,低栄養はフレイルやサルコペニアにも関連し,認知機能への影響のほか,運動機能低下による転倒から寝たきり状態へと負の連鎖を引き起こしやすい.特に高齢者においては摂食嚥下にかかる諸機能低下から不利な状態が多く認められる.超高齢社会の進展とともに摂食嚥下機能の維持・向上やリハビリテーションへの取り組みは無視できない状況にあり,対象者の生活の質(quality of life;QOL)向上,社会参加の促進のためにもきわめて重要な課題となっている.資格法に嚥下訓練を業とすることが明記されている言語聴覚士が専門職として担う役割は大きい.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.