Japanese
English
特集 腰痛―最近の動向
急性腰痛の治療
Treatment of acute low back pain.
荻原 哲
1
,
松平 浩
1
,
中村 耕三
1
Satoshi Ogihara
1
,
Ko Matsudaira
1
,
Kozo Nakamura
1
1東京大学医学部附属病院整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Faculty of Medicine, The University of Tokyo
キーワード:
急性腰痛
,
治療
,
エビデンス
,
ガイドライン
Keyword:
急性腰痛
,
治療
,
エビデンス
,
ガイドライン
pp.239-243
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101200
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はじめに
日常診療において腰痛を主訴として外来を受診する患者は多く,そのほとんどは脊椎・筋骨格系由来の腰痛の範疇に含まれる.しかし,診療を始めるに当たり最も注意すべきことは,重篤な疾患(癌の脊椎転移などの腫瘍性疾患,化膿性脊椎炎や腸腰筋膿瘍などの感染性疾患,解離性大動脈瘤などの血管性疾患,馬尾症候群など)の除外診断である1).また,婦人科疾患(子宮内膜症,子宮筋腫,卵巣囊腫など),泌尿器科疾患(尿路結石,腎盂腎炎など),その他の腹腔内臓器疾患(急性膵炎,胃・十二指腸潰瘍穿孔など)なども腰背部痛の原因となり得ることも念頭におかなければならない1).
脊椎・筋骨格系由来の腰痛のなかでも腫瘍や感染・骨粗鬆症に伴う椎体骨折などのように,明らかな疼痛の原因を特定できず,また下肢神経症状を伴わないものを非特異的腰痛と総称する2,3).急性腰痛を訴えて外来を受診する患者の85%がこの非特異的腰痛であり2,4),さらに,非特異的急性腰痛の90%が6週以内に保存療法で軽快するとされる2,5).
このように日常診療で遭遇する機会の多い非特異的腰痛であるが,本稿ではその治療法につき,過去に提出されたエビデンス,英国ガイドライン(1998年公表,その後改訂)6),そして近年(2007年10月)公表された米国ガイドライン3)の内容を踏まえて概説する.
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