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はじめに
運動療法は元来,早期離床と社会復帰を目標に急性心筋梗塞発症後の入院患者を対象として心筋梗塞の患者数が多い欧米を中心に実施された.その後,冠動脈インターベンションや冠動脈バイパス手術のみならず,弁置換術などの心臓血管外科手術後の患者,閉塞性動脈硬化症の患者に対しても実施されるようになり,その有用性が広く知られるようになってきた.さらに最近では心不全に対しても,運動療法が心不全患者の運動耐容能を改善し,再入院率の低下や長期生命予後を改善することが数多くの臨床試験から明らかになってきている1-3).特にわが国では近年,心不全患者が爆発的に増えてきていて,「心不全パンデミック」とも呼ばれる状況になっている.特に増えている高齢心不全患者の心不全増悪を予防するためには,運動療法に加え,栄養管理,併発疾患の管理,薬剤管理,生活指導など,多職種チームで疾病管理に取り組むことが重要で,疾病管理プログラムとしての心臓リハビリテーションプログラムの有用性が注目されている.わが国で心不全に対する心臓リハビリテーションが急速に広がるなか,リハビリテーションの質的担保はきわめて重要な問題である.心不全を含む心血管疾患に対する心臓リハビリテーションに関するガイドラインとして,日本循環器学会を中心とする合同研究班により策定された「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」が存在し基本的な方針や実施概要は記載されているが,臨床現場における具体的な手順については記載されていない.そこで,日本心臓リハビリテーション学会では心不全に対する適切な心臓リハビリテーション実施のための標準プログラムを,2017年7月に「心不全の心臓リハビリテーション標準プログラム(2017年版)」4)として発表した.
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