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症例報告
ロボットスーツHAL®の導入により平行棒内自由歩行が改善した慢性期胎児性水俣病患者の1例
Improvement in free walking in parallel bar through training with cyborg-type robot HAL in a patient with fetal-type Minamata disease at chronic stage:a case report
中村 篤
1
,
臼杵 扶佐子
1
Atsushi Nakamura
1
,
Fusako Usuki
1
1環境省国立水俣病総合研究センター臨床部
1Rehabilitation Section Department of Clinical Medicine, National Institute for Minamata Disease
キーワード:
HAL®
,
Hybrid Assistive Limb®
,
胎児性水俣病
,
歩行訓練
Keyword:
HAL®
,
Hybrid Assistive Limb®
,
胎児性水俣病
,
歩行訓練
pp.667-670
発行日 2018年7月10日
Published Date 2018/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201367
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はじめに
胎児性水俣病は,メチル水銀に汚染された魚介類を摂取した母親から胎盤を通して胎児にメチル水銀が移行し,胎児の脳が障害を受けることで,発達障害,言語障害,運動障害,筋緊張異常,不随意運動などの脳性麻痺様の症状と,知的機能障害を呈する疾患である.
これまで慢性期の胎児性水俣病患者に対し,足底振動刺激治療と促通反復療法(川平法)を取り入れたリハビリテーションの継続により,足底痛,下肢痙縮,足背屈運動,日常生活動作(activities of daily living;ADL)が改善することを報告してきた1-4).今回,慢性期の胎児性水俣病患者に対し,コンピュータ制御で身体能力をアシストする機能をもつロボットスーツであるHybrid Assistive Limb®(HAL®)を装着した平行棒内歩行訓練を実施した.HAL®を用いたリハビリテーション効果については,武田ら5)の脳卒中患者への導入効果や浅川ら6)の歩行能力障害者への初回装着時効果などの報告があるが,慢性期の神経疾患患者への短期導入効果に関する報告は乏しい.
今回,本症例におけるHAL®導入前と導入3か月後の平行棒内5m自由歩行のデータの比較において改善がみられたため報告する.なお,投稿にあたっては,本症例よりインフォームド・コンセントを得ている.
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