Japanese
English
特集 失語症の今
言語と脳機能
Language and brain function
金野 竜太
1,2
Ryuta Kinno
1,2
1昭和大学医学部内科学講座神経内科学部門
2昭和大学藤が丘病院脳神経内科
1Division of Neurology, Department of Medicine, Showa University School of Medicine
2Department of Neurology, Showa University Fujigaoka Hospital
キーワード:
言語
,
脳機能
Keyword:
言語
,
脳機能
pp.505-510
発行日 2018年6月10日
Published Date 2018/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201326
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はじめに
失語症とは脳疾患により言語機能が障害された状態である.言語機能は,音・意味・統辞の3要素によって特徴づけられる1).聴覚的理解には音から言語音を抽出し意味情報を引き出す処理が必要であり,発話には意味を音情報に変換する処理が必要となる.意味をもった言葉の最小単位は単語であり,複数の単語が統辞規則(文法規則)に従って配列したものが文である.音・意味・統辞の3要素が脳内でどのように処理され,その処理がどのように相互作用するのか知ることにより,失語症に対する理解も深まる.
言語の脳内メカニズムを解明する際に基本となる方法は,脳疾患により失語症を呈した症例に対する神経心理学的検討である.そして,健常者を対象とした研究では,機能的磁気共鳴映像法(functional magnetic resonance imaging;fMRI)・拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging;DTI)といった神経画像を用いることが多くなる.近年では神経心理学的検討と各種脳画像検査を組み合わせた研究も多い.
本稿ではまず,1800年代から提唱された言語モデルについて概説する.そして,音・意味・統辞に関与する脳内メカニズムについて最新の知見に基づき概説する.
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