Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「三里塚のイカロス」—祝福されなかった人々に光を当てるという映画の党派性
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.387
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201288
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筆者は1966年,高校入学後の1年間,新左翼某セクトの機関紙を購読していた.とはいえ,現実から乖離したスローガンや言説に同調できず,その戦列に加わることはなかった.それゆえ,「三里塚のイカロス」(監督/代島治彦)には格段の思いが過ぎる.そこにあるのは,二者択一を迫られた筆者が選択しなかった生き方であり,胸中痛みが走った.
本作は,新東京国際空港(現成田空港)を三里塚に建設する1966年の閣議決定に端を発した三里塚闘争を多軸的に振り返ったドキュメンタリー.とりわけ,筆者をして瞠目させたのは,現地の農家に嫁いだ<支援妻>たちの現在の素顔である.
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