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特集 被災地の復興と障害
災害精神医学からみる復興と障害—障害にかかわる医療福祉保健従事者に必要な知識とスキル
Disaster response and preparedness considering mental healh of people with disabilities:Accumulated knowledge for medical and welfare health workers dealing with disabilities
佐久間 篤
1
,
富田 博秋
2
Atsushi Sakuma
1
,
Hiroaki Tomita
2
1東北大学病院精神科
2東北大学災害科学国際研究所災害精神医学分野
1Department of Psychiatry, Tohoku University Hospital
2Department of Disaster Psychiatry, International Research Institute of Disaster Science, Tohoku University
キーワード:
災害精神医学
,
障害
,
惨事ストレス
,
セルフケア
,
サイコロジカルファーストエイド
Keyword:
災害精神医学
,
障害
,
惨事ストレス
,
セルフケア
,
サイコロジカルファーストエイド
pp.1211-1218
発行日 2017年12月10日
Published Date 2017/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201168
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はじめに
災害は被災者に大きな心理社会的な影響を及ぼす.被災住民の間では長期に渡って抑うつや心的外傷後ストレス反応を呈する人が増えることから,被災者を支援する医療保健福祉領域の従事者は,被災者の心理状態を理解・把握し,有効なケアを提供できることが望ましい.
障害者は,外国人,乳幼児,妊婦などとともに,災害から守るために安全な場所に避難するなどの災害時の一連の行動をとるのに支援を要する災害時要援護者と位置づけられるが,これらの集団は災害後の心理社会的影響の面でも特に配慮が必要であることが示唆される.災害時要援護者は急性期から多くの困難を抱え,復興期には取り残されがちとなる.心身ともに慢性的な問題を抱えやすく,包括的な支援が必要となる.障害者自身や障害者を取り巻く人々やコミュニティの間で,発災直後の避難やその後の避難生活,復旧,復興の過程で障害者が抱えがちな困難,心理的ストレスや精神面への影響に関する知識が広まり,配慮がなされる機会が増えることが望まれる.
一方,障害者の介護や支援に当たる人は,災害後特に,肉体的,精神的にも過酷になりがちなことが示唆され,支援者は支援を提供しつつ自らの健康状態を維持することが重要となる.
介護,支援の職場では,平時から組織的にメンタルヘルス対策を充実させ,災害時にセルフケアを行いやすい環境を整備しておくことが重要である.
障害者の災害後のメンタルヘルスへの影響に関する実態については不明のところが大きいが,本稿では,災害の障害者への心理社会的影響に関しての知見を概観し,被災地域で障害者の医療,介護,支援にあたる者が気を付けるべきことを概説する.
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