Japanese
English
講座 リハビリテーション医学の評価法(5)
運動器系の障害の評価
Examination of the Impairment of the Musculoskeletal System.
博田 節夫
1
Setsuo Hakata
1
1国立大阪南病院理学診療科
1Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Osakaminami National Hospital.
キーワード:
運動学
,
運動器系
,
障害
Keyword:
運動学
,
運動器系
,
障害
pp.618-622
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104771
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
人体の運動器系の基本をなすのは骨格であり,各骨が関節の運動軸のまわりを回転し,骨の移動が起こる.この骨の運動をひき起こす力源として筋の収縮があり,筋収縮は神経系によってコントロールされる.それゆえ,運動器系の障害を評価するためには,神経,筋・腱・骨および関節の機能を個々に分析すると同時に,これらの機能を総合的に評価して,全体像を把握しなければならない.実際に見られる運動はこの全体像であり,その生理的な状態は運動学(kinesiology)において研究される.運動学の中心的な存在は筋の働きと,それによってもたらされる骨の運動であり,関節包内における関節面の動きはおろそかにされ,また,神経系の機能は別に独立して考慮されている.したがって,治療においても,関節包内運動に対する手段が無視されているし,中枢神経障害においては,末梢の運動器系の評価なしに治療を行う傾向が現われている.
運動学はその要素に分けると,運動力学(kinetics)と骨・関節運動学(kinematics)があり,後者はさらに骨運動学(osteokinematics)と関節運動学(arthrokinematics)とに分けられる.ここでは,運動学の観点から運動器系の障害の評価を述べる.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.