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はじめに
バイオフィードバック(biofeedback;BF)療法とは,視覚的・聴覚的に動作を確認し,それに基づき自ら運動を調整することで運動学習を促進し,運動機能を回復させようとするものである.特に,脳卒中片麻痺患者1)や尿失禁患者2),整形外科手術後の患者の運動機能回復3)においては,筋電図BF(electromyogram biofeedback;EMG-BF)療法が有用であることが報告されている.
2008年の日本リハビリテーション医学会調査4)によると,EMG-BF装置の施設所有率は33%である.一方で,購入希望率は調査対象運動療法機器26機器中で最も高く,臨床でのニーズは高いものである.導入が遅れている原因としては,機器の価格が高いこと,そのためEMG-BF装置の使用経験のある療法士が不足していること,さらに,EMG-BF療法の具体的な適応方法が周知されていないことなどが考えられる.
村岡の開発したスマートフォンを用いた低コストEMG-BF装置5)は,10点程度の部品を用い低コストで作製することが可能であり,2012年製以前のAndroidスマートフォンで動作確認が行われている.しかしながら,最近広く普及しているApple社製iPad,iPhone,2013年製以降のAndroid端末の多くは,マイク接続を自動検出し,切り替える機能が付加されており,マイクと異なる出力インピーダンスをもつ従来装置では,手動によっても外部マイク入力に切り替えることができない.そのため,本装置を活用できず,臨床応用の停滞を招いている.現行のスマートフォンで使用するためには,マイクと同等の出力インピーダンスになるように回路を変更する必要がある.
そこで,主に流通している各社のスマートフォン,タブレット型端末を用いて筋電図波形を確認することができるように回路を改良した.さらに各種スマートフォン,タブレットで動作確認を実施し,筋電図の表示に加え,記録や編集機能も検討した.
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