Japanese
English
特集 排尿ケアとリハビリテーション
脳卒中患者
Stroke patient
補永 薫
1
Kaoru Honaga
1
1東京湾岸リハビリテーション病院
1Tokyo Bay Rehabilitation Hospital
キーワード:
機能性尿失禁
,
排尿筋括約筋協調不全
,
膀胱内圧測定
Keyword:
機能性尿失禁
,
排尿筋括約筋協調不全
,
膀胱内圧測定
pp.993-998
発行日 2017年10月10日
Published Date 2017/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201112
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はじめに
現在,本邦における脳卒中の罹患者数は100万人を超え,2013年度の65歳以上の要介護者などについて,介護が必要になった主な原因においても,「脳卒中」が17.2%と最も多く,次いで,「認知症」16.4%,「高齢による衰弱」13.9%,「関節疾患」11.0%となっている1).排尿障害は脳卒中患者において高頻度にみられる症状であり,片麻痺の重症度からみても軽症例で25%,中等症例で42%,重症例で70%と麻痺が重症になるにつれて排尿障害の頻度も増すといわれている2).
この排尿障害がもたらす影響は大きく,多種にわたる.主なものを挙げると医学的には褥瘡の形成・悪化を来し,尿路感染症・敗血症・腎不全をもたらす.社会的には自立心の低下をもたらし,社会活動の制限となるばかりでなく,依存心が強くなりうつ傾向になる.リハビリテーションにおいても2次的に自尊心を傷つけ,意欲低下・退行現象を来し,日常生活動作(activities of daily living;ADL)項目の能力低下の原因となり,リハビリテーションの阻害因子となる.さらに排尿障害は要介護状態の患者に対する介護資源の多くの部分を費やすため,周囲の介護者の負担および医療経済的にも大きな問題となる.
これらの問題は脳卒中の他の障害と重なる部分も多く,そのため,脳卒中患者における排尿障害は膀胱機能単体で考えるのではなく,他の症状を含めて総合的に把握し,その問題点を整理したうえで適切に対応していく必要がある.
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