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要旨 【目的】失語症者のケアに従事する専門スタッフの失語症に関する理解度を評価する新しい尺度Aphasia Knowledge Test-20(AKT-20)を開発し,失語症の啓発活動を行う際の課題について検討した.【方法】対象は医療・介護系スタッフ261名である.AKT-20はbiomedical knowledge(BK)8問,coping knowledge(CK)7問,services knowledge(SK)5問からなる計20問で構成されている.AKT-20の信頼性係数〔再テスト法:級内相関係数(intraclass correlation coefficient;ICC)〕と妥当性(表面的妥当性と内容的妥当性)を検証し,各スタッフの正答率の傾向から問題点と応用性を分析した.【結果】対象内訳は男性75名,女性186名,職種内訳は,介護支援専門員13名,看護師57名,理学療法士36名,作業療法士26名,言語聴覚士15名,社会福祉士14名,介護福祉士100名である.AKT-20の正答率は61.0%(BK:63.8%,CK:68.3%,SK:50%)で,信頼性係数(ICC)は0.603〜1.000,表面的妥当性(言語聴覚士3名による適切性判断)と内容的妥当性(言語聴覚士群の正答率:86.9%,BK:95.8%,CK:87.6%,SK:77.3%)より,AKT-20の臨床的有用性を確認した.言語聴覚士以外のスタッフの正答率は全体と3つの下位項目のすべてにおいて,言語聴覚士群より有意に低下していた.質問項目別ではCKとSKの正答率が特に不良であった.【結語】失語症者をケアするスタッフの,失語症に関する基礎知識の不足が明らかとなった.言語聴覚士は他職種との連携を深め,失語症状への対処法や社会サービスに関する教育プログラムを充実させた啓発活動に努める必要がある.AKT-20は,失語症ケアに対する多職種連携の指標となる可能性が示唆された.
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