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要旨:〔目的〕脳卒中後の抑うつ症状(post-stroke depression;PSD)はリハビリテーションの重大な阻害要因であり,PSDの早期発見と早期介入は重要な臨床的課題の一つである.本研究では,Sutcliffe & Lincoln(1998)が開発したThe 10-item Stroke Aphasia Depression Questionnaireの日本語版(J-SADQ10)を作成し,その信頼性と妥当性を検証することを目的とした.〔対象・方法〕対象は失語症者とその家族介護者の77組であった.失語症者には個別面談を,家族には留置法にてアンケート調査を実施した.失語症者は全例右利き左半球損傷例に限定した.失語症者には①Geriatric Depression Scale短縮版(GDS-15),②Hamiltonうつ尺度(Hamilton's Rating Scale for Depression;HAM-D)を実施した.家族介護者には①J-SADQ10,②失語症者の日常生活動作評価(Physical Self-Maintenance Scale;PSMS)を実施した.約1週間後にJ-SADQ10を再評価した.信頼性はCronbachのα係数とGuttmanの折半法信頼係数,再テスト法による級内相関係数ICCを算出した.妥当性はGDS-15とHAM-D,PSMSを妥当係数とし,J-SADQ10とのSpearmanの順位相関係数にて検証した.〔結果〕J-SADQ10のCronbachのα係数は0.758,Guttmanの折半法信頼係数は0.692であった.再テスト法によるICCは0.920で,J-SADQの内的整合性と安定性を確認した.また,GDS-15との相関はrs=0.284(p=0.012),HAM-D(17項目)はrs=0.526(p=0.014),HADM-D(21項目)はrs=0.529(p=0.014),PSMSはrs=-0.295(p=0.009)で基準関連妥当性を確認した.〔結語〕失語症者の客観的抑うつ評価質問紙であるJ-SADQ10の信頼性と妥当性について検証し,その臨床的有用性を確認した.
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