高次脳機能障害が後遺したびまん性軸索損傷に拡散テンソル画像のvoxel-based analysisを施行した5例

Diffusion tensor imaging analyzed by voxel-based analysis in patients with diffuse axonal injury accompanied with higher brain dysfunction：a report of 5 cases

要旨　【目的】通常の核磁気共鳴画像法（magnetic resonance imaging；MRI）では所見が不明瞭であるにもかかわらず，高次脳機能障害を後遺する頭部外傷（traumatic brain injury；TBI）患者の病変を明らかにするため，拡散テンソル画像（diffusion tensor imaging；DTI）のvoxel-based analysisの有用性について検討する．【対象・方法】慢性期のMRI所見が軽微なびまん性軸索損傷（diffuse axonal injury；DAI）による高次脳機能障害患者5例に対して，通常のMRIに加えてDTIを撮影し，fractional anisotropy（FA）値について，健常成人データベースとの間でstatistical parametric mapping（SPM）およびeasy z-score imaging system（eZIS）を使って解析し，Z-score 2以上のvoxelが表示されるFA変化マップを作成した．【結果】3例では急性期に通常のMRIを施行されており，そのうち2例において慢性期のMRIで所見が消失した急性期fluid attenuated IR（FLAIR）高信号領域に一致してFA値低下がみられた．4例で脳梁にFA値低下領域を認めた．4例で微小出血周囲にFA値低下領域を認めた．【結語】DTI voxel-based analysisは慢性期TBIにおいて所見が不明瞭となる軸索損傷の描出に有用である．