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はじめに
POEMS(polyneuropathy,organomegaly,endocrinopathy,m-protein,skin changes)症候群もしくはCrow-Fukase症候群は,形質細胞腫を基礎として,それに伴う血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)の増加,多発性ニューロパチーが必発であり,浮腫,胸水腫,臓器肥大,皮膚症状,骨硬化病変,M蛋白血症などの特異な臨床症状を呈する全身疾患である.下肢末梢から出現する異常感覚と脱力が主症状で,運動障害が感覚障害より強く現れ,進行すると起立不能になる神経症状がみられることが多い.多発性骨髄腫と同様に形質細胞腫を基盤とした疾患と考えられており,多発性骨髄腫に準じた治療が実施される.
2003年に行われた調査では,日本国内で本疾患に罹患しているのは340名と推定され稀な疾患であるが,欧米と比較すると本邦において発症頻度が高い1).2000年代に入ってからは,自己末梢血幹細胞移植(autologous peripheral blood stem cell transplantation;auto-PBSCT)を伴う大量化学療法が行われるようになり,著明な症状改善と長期寛解についての報告がなされてきている2-4).しかし,治療後の経過について,同様の末梢神経炎による障害であるギラン・バレー症候群などに比べ,リハビリテーションの経過についての報告は非常に少なく5,6),特に社会復帰までの長期的な経過についての報告はない.
今回われわれは,POEMS症候群を発症し,auto-PBSCTを伴う大量化学療法を施行され,発症1年5か月後に復職を果たした1症例を経験したので報告する.
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