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はじめに
腰神経障害は腰痛・下肢痛の原因となるが,無症候性の椎間板変性およびヘルニアがしばしば認められ,従来のMRIでは画像上の神経根圧迫が必ずしも痛みの原因とはなっていないことも多い4,11).画像診断が進歩した現代でも,損傷神経の可視化,痛みの定量化などの機能評価は不可能である.
もう1つ,画像診断の中で解決されていない課題に,腰椎椎間孔狭窄の画像診断がある.椎間孔部は椎弓根を中心に区分され,椎弓根の内側が脊柱管内あるいは外側陥凹,椎弓根内縁から外側縁の間が椎間孔内,外縁から外側が椎間孔外と定義される.腰椎椎間孔狭窄は脊椎の退行性変化により椎間孔内外で神経根・腰神経が絞扼を受ける病態であり,同部位には痛覚受容器である後根神経節が存在するため,激しい下肢痛を生じ,難治性である10).頻度は腰椎変性疾患の中で8〜11%と報告されており,まれな病態ではない.臨床症状として,脊柱管内狭窄と比較し,安静時下肢痛や,座位や仰臥位,患側下の側臥位でも下肢痛を訴える症例が多い8).この領域は,Macnab16)がhidden zoneと紹介したごとく,画像診断法が進歩した現代でも見落とされやすく,手術成績を悪化させる一因となる5).特に,腰椎椎間孔狭窄の手術は固定術となることが多く,診断が重要となる(図 1a).画像診断は,単純X線,CT,MRI14),さらに選択的神経根造影・ブロックなど機能的診断を組み合わせて総合的に診断する9).従来のMRIでは脂肪像の消失として診断されるが,偽陽性率は30〜40%と報告されており,診断は困難である(図 1b)2).このように,現在のMRIでは脊髄から分岐した脊髄神経,腕神経叢,腰神経など外側病変を画像診断することは困難であり,新しい画像診断法が望まれている.
近年,MRI装置の高磁場化やパルスシーケンスの改良に伴い,より高分解能のニューロイメージングが可能になった.MR neurogaraphyは,造影剤を用いることなく非侵襲的かつ選択的に末梢神経を描出する方法であり,3D MR neurography,diffusion-weighted MR neurogaraphy,拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging:DTI)6,7)など,さまざまな手法が報告されている.本稿では,DTIによる腰椎椎間孔狭窄の画像診断と深層学習を用いたDTI自動生成について概説する.

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