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はじめに
脳卒中は重度の機能障害を残すことも多く,長期的・永続的に患者の日常生活動作(activities of daily living;ADL)や生活の質(quality of life;QOL)を著しく損なう.また要介護の原因となる疾患で最も頻度の高いものである.今後さらに高齢化が進むことでその影響は拡大していくことが予測され,社会的な影響も大きい疾患である.
脳梗塞は脳卒中の中で最も多い病型であるが,その急性期治療は大きな進歩を遂げている.脳梗塞の治療成績を大幅に向上するものとして,遺伝子組換え型組織プラスミノーゲンアクティベータ(recombinant tissue-type plasminogen activator;rt-PA)静注による治療が取り入れられるようになってきた.これにより良好な機能予後が得られる症例があり,臨床現場で広く応用されている.2012年にrt-PA静注治療適応時間が,従来の3時間以内から4.5時間以内へと延長され,さらに適応患者が拡大された.また脳動脈閉塞による急性期脳梗塞に対する治療方法として,経皮経管的脳血栓回収療法も保険認可されている.いずれの治療法も対象症例は限定されるものの,治療に成功した場合の機能予後の改善は著しく,脳梗塞治療の画期的進歩が得られている.
その一方で,これらの治療法の適応とならなかった症例や,治療が実施されたものの機能改善が得られない症例も少なからず存在し,長期的に機能障害が残存する症例は少なくない.このため脳梗塞治療の進歩による治療成績の向上はあるものの,リハビリテーションの需要は依然として大きい.
本稿ではこれらの背景を踏まえ,脳梗塞急性期リハビリテーションの実践方法と今後の課題について述べることとする.
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