Japanese
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教育講座
リハビリテーション医療におけるリスクマネジメント
Risk Management in Rehabilitation Medicine
宮越 浩一
1
Koichi Miyakoshi
1
1亀田総合病院リハビリテーション科
キーワード:
リハビリテーション医療
,
安全管理
,
ガイドライン
,
システム構築
,
品質管理
Keyword:
リハビリテーション医療
,
安全管理
,
ガイドライン
,
システム構築
,
品質管理
pp.167-173
発行日 2020年2月18日
Published Date 2020/2/18
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- 参考文献 Reference
はじめに—安全管理の必要性
医療機関ではその診療過程においてさまざまな有害事象を発生する危険性がある.有害事象の発生は,治療成績を不良とし,患者満足を損なうものとなる.また,在院日数の長期化や,診療コストの増大など病院経営にも悪影響を与えるものとなる.そして,職員負担の増大も生じるなど,さまざまな問題を生じる.
リハビリテーション医療の対象となる患者はさまざまな障害をもっており,その原因となる疾患には重大なものも多い.併存疾患を複数もっていることも多く,虚弱な患者も多く含まれている.このため有害事象を生じやすく,その影響は大きくなりやすい.リハビリテーション医療は有害事象発生のハイリスク領域と考えるべきである.
このため,リハビリテーション診療を提供するにあたっては,十分な安全管理がなされることが求められる.ここで想定される有害事象としては,急変などの合併症,転倒などの事故,医療関連感染などがある.対策として最も重要なことは,有害事象の予防である.しかし,有害事象の発生を恐れるあまり,積極的なリハビリテーション治療ができなければ機能改善が不十分となり,治療成績は悪化するという結果となる.また,過度な安全管理対策は業務負担の増大につながる.現在の医療現場はマンパワーや経営的にゆとりがあるとはいえず,安全管理においても効率的な運用が求められる.効率的に効果的な安全管理を行うためには,重点的に対策をとる必要がある部分を特定し,そこに十分なエネルギーを投入することが必要である.このような対策は医療従事者個人で行うものではなく,組織での対応が求められる.
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