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短報
高齢者の転倒とその関連要因の相互関連性—構造方程式モデリングによる検討
Interconnectedness of falls and relevant factors:examination by structural equation modeling
小林 薰
1
,
柊 幸伸
2
Kaoru Kobayashi
1
,
Yukinobu Hiiragi
2
1国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科
2了德寺大学健康科学部理学療法学科
1Department of Physical Therapy, International University of Health and Welfare
2Department of Physical Therapy, Faculty of Health Science, Ryoutokuji University
キーワード:
転倒
,
敏捷性
,
構造方程式モデリング
,
パス図
Keyword:
転倒
,
敏捷性
,
構造方程式モデリング
,
パス図
pp.59-62
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200484
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要旨 【目的】構造方程式モデリングを高齢者の転倒に応用し,各要因がどのような関連性をもっているのかをモデル化した.【対象】体力測定会に参加した高齢者76名(男性21名,女性55名:平均年齢76.8歳)であった.【方法】調査項目は,過去1年間の転倒歴,運動機能評価の項目は30秒椅子立ち上がりテスト(30-sec Chair Stand Test;CS-30),ステッピング,Functional Reach Test(FRT),5m最大歩行期間(5m Maximum Walking Time;5mMWT),Timed Up & Go Test(TUG)とした.転倒とその関連要因の仮説モデルを作成し,構造方程式モデリングにより最終モデルを構築した.【結果】最終モデルは,統計学的にモデルを採択する基準を満たしていた.移動能力から直接的に転倒に関連させたパスの標準化係数は−0.17であり,有意な関連は認められなかった.その一方で,移動能力からステッピング,ステッピングから転倒のパスの標準化係数は,それぞれ−0.39(p<0.05),−0.32(p<0.05)であり有意な関連が認められた.【結語】高齢者の転倒には下肢の敏捷性,その背後にある移動能力には下肢筋力とバランス能力が直接的に関連する要因であることが示された.そのため,転倒予防のためには予期しない外的刺激に対していかにすばやく1歩を踏み出せるかという敏捷性を積極的に向上させる運動介入の必要性があることが示された.
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