Japanese
English
特集 認知症予防と治療の進歩
認知症予防対策の効果とこれからの方向性
Nation-wide prevention of dementia—its present status and future direction
朝田 隆
1
Takashi Asada
1
1メモリークリニックお茶ノ水
1Memory Clinic Ochanomizu
キーワード:
予防
,
認知症
,
生活習慣
,
介入
Keyword:
予防
,
認知症
,
生活習慣
,
介入
pp.15-19
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200470
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はじめに
わが国では認知症高齢者数が既に500万人を超えたとされ,今後もさらなる増加が予測されている.そこで認知症予防の実践が,国内はもとより世界中で浸透しつつある.認知症の原因疾患は多いが,全体の2/3を占めるのがアルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)である.ADをはじめとする各種の認知症性疾患予防の基本は,危険因子(risk factor;RF)の同定にある.このようなRFは,3つのクラスに分けて考えると理解しやすい.まず遺伝子異常など現時点では予防対応が不可能と思われる1次的なもの.次に認知症発症につながりやすいとされる糖尿病や高血圧といった医療レベルの2次的なもの.そして運動,栄養,社会交流といったライフスタイル関連で自分の努力で改めることが可能な3次的なものである.このようなRFを図1にまとめた.過去30年間において,こうしたRFの同定,それに基づく予防介入が試みられてきた.しかし多くの介入は効果的であったとはいえず,日本のみならず世界の各地で実にさまざまで信頼性の乏しい予防法が流布しているのが現状である.そこで本稿では,認知症予防に有効と目される代表的な要因のうちとくに,2,3次的なものについてその真価検討を試みる.
そのうえで,これからの方向性として早期発見を実現するための試案と,早期発見を早期絶望に終わらせないための方向性について述べる.
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