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認知症の現状
認知症はわが国のみならず,世界の大きな問題である.2015年の世界アルツハイマー協会の報告書「World Alzheimer Report 2015:The Global Impact of Dementia:An analysis of prevalence, incidence, cost and trends」1)のなかで,2015年の時点ですでに4,680万人の認知症の人がいて,3秒に1人ずつその数が増加すると推計されている.現在,日本は世界で類をみないペースで高齢化が進行しており,2014年版の高齢社会白書2)によれば,2013年10月1日時点で高齢化率は25.1%と,過去最高となり,また世界一となっている.この割合は,2025年には30%を超え,さらに,今後団塊の世代の高齢化と少子化が進行するために,日本の人口ピラミッドは逆三角形型になっていくと予想されている.この内訳のなかで,都市部と地方では様相が異なり,今後首都圏を中心とする都市部では,高齢者人口は,率・実数ともに急激に増加すると予想されているものの,地方では高齢者の実人数は頭打ちになることが予想されており,地域の特色に応じた対応が必要と考えられている.
認知症の危険因子として,加齢は大きな位置を占める.世界一の高齢社会である日本の認知症の人の有病率を推計するため,厚生労働科学研究費補助金を用いて調査研究が行われ,その結果,日本の65歳以上高齢者の認知症有病率は約15%,2012年の時点では約462万人となると推計された.また同調査では軽度認知障害(mild cognitive impairment;MCI)の有病率も推計され,約13%,400万人とされた3,4).MCIはすべてが認知症になるわけではなく,どのくらいが認知症に移行するかの正確な数字はわかっていないものの,今回の研究報告でもその傾向が示されているが4),5歳年齢が上がるごとに認知症の有病率は倍になるともいわれており,社会の高齢化に伴い,今後も認知症の増加は続くと考えられる.
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