検査の昔ばなし
臨床検査今昔物語
桂 重鴻
1
1大本山総持寺鶴見総合病院
pp.42-43
発行日 1975年11月1日
Published Date 1975/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200915
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私に昔話をせよとのことであるが,私は今年から数えて55年前(大正9年)に東北帝大医学部を卒業して熊谷内科に入り,2年間は副手,6年間は助手として過ごした.昔話となれば主としてその時代のことを語ることとなるが,今の検査技師さんたちや技師になるための勉強をしている人たちには,あまりお役に立つとは思われない.しかしせっかくのご要請でもあるから,思いつくままに当時のことや,二三の感想を記してみよう.
まず医局に入ると,私たち新入生(neue Herrenと呼ばれた)は1人1人特定の先輩医局員の指導を受けながら,受け持ち患者の診察のしかた,カルテの記載方法,日常の尿,便,血液などの検査のやり方などを教えられる.検査のための試薬は,4人の助手の1人が一定の期間,その作製と管理の任を命ぜられる.学生時代私たちは,医化学実習や細菌学実習で一通りのことは教わったわけであるが,入局後更に先輩監督の下に,これらの試薬と所要の器具を用いて,患者についての検査を実地に教えられた.
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