Japanese
English
研究と報告
死別と躁病
Bereavement and Mania
出村 紳一郎
1
,
南光 進一郎
1
Shinichiro Demura
1
,
Shinichiro Nanko
1
1帝京大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
Mania
,
Bereavement
,
Funeral mania
,
Life events
Keyword:
Mania
,
Bereavement
,
Funeral mania
,
Life events
pp.39-45
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902976
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【抄録】 近親者,友人との死別後に躁病が発現した4症例を報告した。症例1:43歳,女性。すでに躁うつ病の既往があったが,夫の死亡後軽躁状態となり,さらに父の死亡後躁状態となった。症例2:17歳,女性。うつ病相の既往がある。軽躁状態にあったが,自殺した友人の葬儀に出席した後,躁状態となった。症例3:38歳,女性。すでに躁うつ病の既往があったが,伯父の死亡後,うつ状態を経て躁状態となった。症例4:42歳,女性。躁うつ病の既往があった。うつ状態にあったが,友人の葬儀を手伝った後,うつ状態が増悪し自殺を企図した。その後,躁うつ混合状態を経て躁状態となった。
いわゆる「葬式躁病」(Funeral mania)の名称はよく知られているが,文献上の報告例は意外に少ない。これまでの報告例をみると,英語圏では死別した相手は,実父母,夫,息子が多く,一方,我が国では義父母が多く,両者の間に差が認められた。死別により躁病が初発した例は少なく,既往にすでに躁うつ病相があり再発した例が多かった。
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