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要旨 【目的】肝機能障害発症前から運動耐容能を高めるために,予防医学的な見地より運動を実施し,発症後も継続して運動を実施することで,肝機能および筋機能にどのような影響を与えるか明らかにすることを目的とした.【対象】80週(1年8か月)齢のWistar系雄性ラット18匹を用い,control(Ct:n=4)群,sedentary(Se:n=7)群,exercise(Ex:n=7)群の3群に無作為に分類した.【方法】Se群およびEx群は四塩化炭素(CCl4)とオリーブオイルとの混合液を投与し,肝機能障害を発症させた.Ct群はオリーブオイルのみを投与した.Ex群はトレッドミル運動をCCl4投与2週前から全4週間継続して実施した.4週目の解剖後,血液検査,筋張力測定,組織化学染色を実施した.【結果】ASTおよびALTは,Ex群において運動後に低下傾向を示したが,投与1週後はCt群と比較してSe群およびEx群が有意に上昇した.投与2週後では,Se群と比較してEx群が有意に上昇した.筋張力においてヒラメ筋(soleus;SOL)では3群間に有意差は認められなかったが,長趾伸筋(extensor digitorum longus;EDL)ではSe群と比較してEx群で有意に上昇した.筋横断面積においてSOLで3群間に有意差は認められなかったが,EDLではCt群と比較してSe群・Ex群で縮小した.【結語】CCl4投与前の予防的運動によって筋機能が向上し,投与後もSe群と比較してEx群では筋機能が維持されていたことから,予防的運動がサルコペニアなどの二次的障害の進行を予防する可能性が示唆された.しかし,投与後には肝機能が増悪したことより,さらに運動介入の時期や栄養管理,そのほかの要因も考慮したリハビリテーションの検討が必要と思われた.
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