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はじめに
肢体障害のために生じる能力障害は,その障害程度によるが,下肢障害であれば,立ち座りや移乗に加えて歩行や移動に何らかの障害が生じる.また,上肢障害であれば,衣服の着脱や整容,食事,排泄,入浴などの日常生活動作や器具の操作の多くに支障をきたすこととなる.体幹障害であれば,歩行はもちろんのこと,移乗動作や作業姿勢などに支障が生じることが多い.しかし,本人が自身の機能・形態障害を受け入れ,身体機能や寸法,そして住環境や生活方法に適した福祉用具や日常生活機器を活用することで,能力障害を補うことができる.その結果,自立生活や介助負担の少ない生活を目指すことができるし,より安全で活動的な生活を獲得し,生活の質を向上させることができると考えている.
近年では,高齢化社会に対応するための福祉用具の開発や普及促進に関する法律や制度が制定され,多くの事業が展開されていることもあり,さまざまな福祉用具が開発・製品化されている.また,海外の優れた製品も国際福祉機器展などを通して紹介され,輸入され販売されるようになってきた.このような状況から,目的に応じてあるいは能力障害を補完するために,いくつかの製品のなかから選択できるようになってきた福祉用具もある.しかし,障害者の身体機能や体型,寸法,生活方法はさまざまであるとともに,住環境や生活習慣は多種多様であることから,実用に耐えないものも多い.
福祉用具を使用する障害者の立場で言うと,選択方法と使い方をしっかり知ることが大切である.また,福祉用具の研究開発の立場で言うと,使用者のニーズおよび供給システムや製品価格の設定をいかに捉えて設計・開発していくかが大切と考えている.
ここでは,最近開発した肢体障害者用の福祉用具を紹介し,実用化の条件や開発の現状と問題点,今後の展望などについて記述する.
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