連載 筋・骨格系の痛みへの対応
頸部痛
大橋 洋輝
1
1東京慈恵会医科大学脳神経外科
キーワード:
頸部痛
,
頸椎症
Keyword:
頸部痛
,
頸椎症
pp.789-793
発行日 2014年8月10日
Published Date 2014/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110603
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頸部痛を来す疾患は多岐にわたり,症状として頸部痛単独のものばかりでなく,頭痛や肩の痛み,上肢に放散する痛み,しびれなどを伴うことが多い.頸部や肩の痛みは,整形外科領域では腰痛や膝痛と並んで頻度の高い症状で,生涯において約70%の人が経験するとの報告もある1).頸部や肩に痛みを訴える患者のうち,90%は頸部か肩の障害が原因であるといわれている2).頸椎疾患や肩関節疾患をはじめとして,末梢神経疾患や内臓疾患などさまざまである.そのため,頸部痛が頸部あるいは他部位由来なのかを見極めることと同時に,緊急性を要する重篤な疾患や外傷が含まれている症例もあり,それらを見逃さないことが重要である.診察にあたっては,常にこれらの事実を念頭に置いて進めることが必要である.核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging;MRI)などの画像診断が著しく進歩しており,安易に頼りがちになる傾向があるが,形態学的異常が必ずしも症状と一致するわけではない.誤診や見逃しを防ぐうえで重要なことは,詳細な問診を行い,患者の愁訴を把握し,考えられる病態を挙げたうえで,視診,触診,理学所見といった正確な診察所見から病態を絞り込んでいく手順を踏むことにある.本稿では,鑑別すべき疾患を挙げたうえで,特に頻度の高い頸椎病変の診断と治療法について述べる.
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