発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017299357
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症例1:66歳男。後頸部と両肩に肩こりのような痛みを自覚し、徐々に痛みが増強した。その後、一晩で急性の四肢麻痺と尿閉が出現し、仰臥位になると後頸部に痛みを生じるため、座位で頸部の軽度前屈した姿勢をとっていた。頸椎MRIで脊髄背側右寄りの硬膜外に占拠性病変を認め、周囲の軟部組織に浮腫性変化を認めた。緊急手術を行い、占拠性病変から膿汁が回収され、頸髄硬膜外膿瘍と診断した。抗菌薬投与で徐々に症状改善し、リハビリ施設へ転院となった。症例2:50歳男。食欲低下と首周辺にこりのような症状を自覚し、症例1と同様の後頸部の痛みを生じていた。脊椎MRIで脊髄腹側の硬膜外に占拠性病変を認め、他の所見と併せて頸髄硬膜外膿瘍が疑われた。内科的治療で経過をみる方針とし、抗菌薬投与で徐々に症状改善し、膿瘍も消失して退院となった。症例3:66歳男。急に肩こりのような痛みを自覚し、更に左優位に両手のしびれ感が出現した。その後、頸部の痛みのため首をどの方向にも動かせなくなり、首を支えるのも困難な状態となった。頸椎MRIで脊髄背側左寄りの硬膜外に占拠性病変を認め、その被膜は硬膜と連続性があり強い造影効果を有していた。頸髄硬膜外膿瘍と診断し、抗菌薬点滴を開始するとともに緊急膿瘍除去術を行った。抗菌薬投与で症状改善した。3例ともに起因菌はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌であった。
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