特集 神経難病とリハビリテーション
多発性硬化症
松尾 雄一郎
1,2
,
生駒 一憲
1,2
Yuichiro Matsuo
1,2
,
Katsunori Ikoma
1,2
1北海道大学病院リハビリテーション部
2北海道大学病院リハビリテーション科
1Hokkaido University Hospital, Department of Rehabilitation
2Hokkaido University Hospital, Physical Medicine & Rehabilitation
キーワード:
有病率
,
Kurtzke総合障害度スケール
,
Functional System
,
痙縮
,
ウートフ徴候
Keyword:
有病率
,
Kurtzke総合障害度スケール
,
Functional System
,
痙縮
,
ウートフ徴候
pp.525-531
発行日 2014年6月10日
Published Date 2014/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110523
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はじめに
多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)は中枢神経系の慢性炎症性脱髄性疾患であり,時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である.難病情報センターによると,最近の各地での疫学調査や全国臨床疫学調査などから,わが国に約12,000人のMS患者がおり,人口10万人あたり8~9人程度と推定されている.吉良は新潟県を含む北緯37度以北の疫学調査が行われた11地域のうち8地域で,MS有病率が人口10万人あたり3人を超えているのに対して,北緯37度以南では調査の行われた10地域のうちこの有病率を超えた地域は1か所もなかったことから,北緯37度を境にMSの有病率が異なることを2003年に報告している1).MSは厚生労働省特定疾患に指定されており,2012年度末の衛生行政報告例によるとMSの特定疾患受給者証交付は全国で17,073件となっている.各都道府県別の交付件数を都道府県別人口10万人(2012年10月1日時点の人口)あたりに換算したものを示す(図1).MSの有病率と同様に扱うことはできないが,わが国では現在も高緯度地域でMSの特定疾患受給者が多いことがわかる.MSの背景はここまでにして,以下MSの診断,評価,治療やリハビリテーションについて述べる.
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