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はじめに
リハビリテーションは再活(韓国),康復(中国),復健(台湾)などとも呼ばれ,元に戻すという意味を含んでいる.発達の遅れのある児においては,新たに機能・能力を獲得していくので,ハビリテーションという言葉も使われる.
障害への対応として,従来医学モデルに偏重しすぎているので,社会モデルに切り替えるべきであるとの意見がみられる.「医学モデル」では,心身の機能・構造上のインペアメント(損傷)が必然的に社会生活における不利や困難としてのディスアビリティ(障害)をもたらすものと捉え,障害の原因除去,対処は個人の努力によるものし,個人への医学的な働きかけ(治療,訓練など)を優先する考え方とされている.「社会モデル」では,インペアメントとディスアビリティ(ハンデイキャップ)とを区別し,障害を社会的障壁によると考え,社会的障壁の除去・改変によって障害の解消を目指す.しかし,医療や福祉,リハビリテーションなどにおいては,両者は混在しており,国際生活機能分類(international classification of functioning, disability and health;ICF)の障害の捉え方が深く認知されると,両者は対立するものではなく,医学モデルを基礎に社会モデルと統合した全人的なアプローチとして,医学社会統合モデルというのが相応しいと考えられる.
わが国のリハビリテーションの近代の歴史は,第2次大戦時の傷痍軍人の社会復帰を目的としたのが始まりといえる.そして小児のリハビリテーションがこれに引き続いて発展した.
肢体不自由児の父と呼ばれる高木憲次博士は療育の理念を「たとえ肢体に不自由なところあるも,次の社会を担って我邦の将来を決しなければならない児童たちに,曇りのない魂と希望をもたせ,その天稟をのばさせなければならない.それには児童を一人格として尊重しながら,先ず不自由な箇所の克服につとめ,その個性と能力とに応じて育成し,以って彼等が将来自主的に社会の一員としての責任を果たすことが出来るように,吾人は全力を傾盡しなければならない.」としている1).
リハビリテーションは4つに分けられる.医学的リハビリテーション,社会リハビリテーション,職業リハビリテーション,教育リハビリテーションの4つは,独立したものではなく相互に補完しあうものである.このようにリハビリテーションを分けることに対し,教育がインクルーシブ教育において語られ,教育リハビリテーションを個別に捉えることはありえないとする考えがある.社会(的)リハビリテーションに関しては,障害者の人権から文化,生活全般を範疇とするため,自立生活運動において障害当事者を交えて論じられるものとなってきている(Nothing About Us Without Us).
教育リハビリテーションは,「障害児が教育により能力を開発し,人格形成を促し,そして社会の構成員になる為の準備する」ためのものである.また,「年齢階層を問わず,障害児者に関して行われる教育的支援」をいう.
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