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第1土曜特集 成人先天性心疾患――各国のガイドラインに学ぶ
中等症先天性心疾患の診断・治療
エブスタイン病
Ebstein disease
椎名 由美
1
Yumi SHIINA
1
1聖路加国際病院心血管センター循環器内科
キーワード:
右房化右室
,
plastering
,
右心不全
,
心房間交通
Keyword:
右房化右室
,
plastering
,
右心不全
,
心房間交通
pp.378-381
発行日 2025年5月3日
Published Date 2025/5/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293050378
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エブスタイン病は,未治療の重症例(Carpentier type D)では通常,成人期まで到達しないため,新生児期・幼児期を乗り切り未治療で成人期まで到達した症例の経過は比較的良好である.一方で,重症三尖弁逆流を有する症例であっても無症状で経過するため,成人期の手術時期の判断が難しい疾患のひとつである.よく「もともと小児期から右心が大きい疾患なのか,三尖弁逆流の増悪に伴い容量負荷・拡大してきたのか?」との質問があがるが,三尖弁逆流が軽度でも右室自体の発生学的異常を有する(右房化右室)心筋疾患でもあることを忘れてはならない.以前の三尖弁形成術(ダニエルソン法やカーペンター法)を試みた場合,遠隔期に三尖弁置換術になる可能性も低くなく(20年後に約半数が再手術を要する)1),以前のガイドラインでは胸部X線心胸郭比65%以上と,著明に右心房・右心室が拡大したタイミングを手術適応としていた.しかし,現在はコーン手術が一般的になってきており,形成術の成功率は以前と比較して高く,入院期間が短い2-4).よって,右心房・右心室が著明に拡大しきってしまう前に手術の検討を推奨する外科医が多く,施設により異なるが,手術のタイミングは早くなっている印象である.

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