Japanese
English
特集 脳卒中急性期治療の最前線
高血圧性脳出血の治療
手術的加療
Surgical treatment of intracerebral hemorrhage.
小守林 靖一
1,2
,
小笠原 邦昭
1
Nobukazu Komoribayashi
1,2
,
Kuniaki Ogasawara
1
1岩手医科大学医学部脳神経外科学講座
2岩手医科大学岩手県高度救命救急センター
1Department of Neurosurgery, Iwate Medical University School of Medicine
2Iwate Prefectural Advanced Critical care and Emergency Center, Iwate Medical University School of Medicine
キーワード:
高血圧性脳内出血
,
手術的加療
Keyword:
高血圧性脳内出血
,
手術的加療
pp.1107-1110
発行日 2013年12月10日
Published Date 2013/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110331
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はじめに
高血圧性脳内出血とは高血圧を原因とし,脳動脈の囊状動脈瘤,脳動静脈奇形などの脳血管病変や脳腫瘍,出血性素因などの出血源となる疾患がなく,脳実質内に血腫を形成するものをいう.その原因は,脳の小血管に類線維素性壊死(fibrinoid necrosis)が生じ,そのため血管壊死を生じた結果として出血するとされている.脳実質内の出血が機械的に脳を損傷し,出血部位に応じた神経症状を呈する.このような血腫による一時的な直接的脳損傷・破壊と,血腫による周囲脳への圧迫や続発する脳浮腫による二次的脳損傷が病態の主体である.この血腫や浮腫による圧迫は血腫が吸収されるまで持続することになる.さらに血腫の脳室内穿破による二次的な急性水頭症や脳ヘルニアなどにより惹起される二次的脳幹出血などがさまざまに病態を修飾する.外科的治療の目的は血腫による周囲脳への圧迫を軽減し,二次的脳損傷を防止すること,および軽減することである.現在のところ破壊された脳組織の修復は不可能であり,この二次的脳損傷を防ぐという目的を忘れてはならない.血腫に到達するためには,脳組織の一部を切開,圧排するなどのデメリットと,血腫除去によるメリットの両面を考慮し,患者にとってどちらがよりよい転機をもたらす可能性が高いかを考えなければならない.また,脳室内に穿破した血腫により続発する急性水頭症に対して脳室ドレナージを行い,血腫除去と同様に二次的な病態悪化を防ぐことが必要となる.そのため,出血部位や血腫量,病態により外科的治療の適応が異なることは当然のことであり,その時点の病態に応じた治療が必要である.
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