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要旨:〔目的〕周術期のリハビリテーションは,術後呼吸器合併症を発症させず,早期離床を円滑に進めることが重要である.しかし,心臓外科手術の術後呼吸器合併症の危険因子は,術前後を含めて十分に明らかにされていない.そこで今回,開胸手術後呼吸器合併症,特に肺炎について術前後の要因との関連を明らかにすることを目的とした.〔対象〕対象は,2006年7月から2011年7月の間に開胸手術を施行した774例とした.内訳は,男性515例,女性259例,平均年齢67.7±11.7歳である.〔方法〕調査項目は,患者背景として年齢,NYHA(New York Heart Association)分類,BMI(body mass index),喫煙の有無,術前呼吸機能検査から得られた%VC(vital capacity:対標準肺活量),FEV1%(forced expiratory volume:1秒率),FEV1L(1秒量),混合性換気障害の有無,手術情報として手術時間,術後情報として端座位開始日,せん妄の有無,反回神経麻痺の有無とした.各調査項目との関連を,肺炎の有無を従属変数とし,ロジスティック回帰分析を施行した.〔結果〕開胸術後の肺炎は全体の7%で発症していた.せん妄の有にてオッズ比13.7(95% CI 5.6~33.7,p<0.001),混合性換気障害の有にてオッズ比11.8(95% CI 3.9~35.4,p<0.001),%VCにて80%以下でオッズ比3.6(95% CI 1.5~8.7,p<0.004),端座位開始日にてオッズ比1.4(95% CI 1.2~1.6,p<0.001)が関連していることがわかった.〔結語〕今後は,術前の呼吸リハビリテーションや,術後の早期端座位を施行していく必要がある.
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