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特集 治療ガイドラインとリハビリテーション
大腿骨頸部/転子部骨折
Hip fracture.
萩野 浩
1
Hiroshi Hagino
1
1鳥取大学医学部保健学科,附属病院リハビリテーション部
1School of Health Science and Rehabilitation Division, Tottori University
キーワード:
大腿骨頸部/転子部骨折
,
診療ガイドライン
Keyword:
大腿骨頸部/転子部骨折
,
診療ガイドライン
pp.251-256
発行日 2013年3月10日
Published Date 2013/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110052
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はじめに
わが国では2012年に約19万例の大腿骨近位部骨折が発生したと推計される.本骨折は85歳以上の高齢者で発生率が高いため,今後も患者数の増加が続き,20年後には年間約30万人の新規患者の発生が予想される1).大腿骨近位部骨折は高齢者に発生する骨折のなかでも,患者数が多く,ほとんどの症例で手術的治療を要すると同時に,移動能力をはじめとした運動能力の低下を来すため,医療分野のみでなく社会的にも重要な骨折に位置づけられる.
診療ガイドラインは「医療者と患者が特定の臨床状況で適切な決断を下せるよう支援する目的で,体系的な方法に則って作成された文書」と定義され,根拠に基づいた医療(evidence-based medicine;EBM)の手順に則って作成される2).ガイドラインは単にエビデンスを集めたエビデンス集とは異なり,作成者による専門家からみた“推奨”が加わるのが特徴である.これは診療現場で必要とされる“推奨”の全てが,臨床研究で証明されているわけではないためである.なかでもリハビリテーション分野では,治療にあたって沸き起こる疑問の多くが臨床研究では十分には実証されていない内容である.
本稿では,「大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン(改訂第2版)」(以下,GL)に関して,改訂の経緯とリハビリテーションの内容を中心に解説する.
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