Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「終の信託」―終末医療と医師のリスクに光を当てる
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.199
発行日 2013年2月10日
Published Date 2013/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110034
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「終の信託」(監督/周防正行)は,情にほだされた善意の行為が,「犯罪」に読み替えられ,殺人罪に反転するという話である.選ばれた舞台は,現代の論点とでも言うべき二つの現場である.終末医療に正対する病室と,信頼揺らぐ検事室である.
呼吸器内科医師の折井綾乃(草刈民代)は,東大医学部出身という履歴からみても折紙付きのエリートである.患者からの評判もすこぶる良い.ただどうしたことか,いかにも軽佻浮薄な,今風に言うなら“たらし”で“チャラ”い同僚医師の高井と不倫関係にあり,当然のことながら捨てられてしまう.自分を守るという点で詰めが甘い.
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