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はじめに
マッケンジー法(McKenzie method,あるいはMcKenzie system)は,1950年代にニュージーランド出身の理学療法士,Robin McKenzie氏によって考案された力学的作用を利用した診断と治療法(mechanical diagnosis and therapy)である.以後,世界各地で多くの医師,理学療法士,カイロプラクターに臨床場面でその有効性を認められて受け入れられてきている.英国とアイルランドで理学療法士が使用している腰痛治療法では,マッケンジー法は,メイトランド法についで多く使用されている(メイトランド法59%,マッケンジー法47%)1).
国際マッケンジー協会(The McKenzie Institute International)の本部はニュージーランドにあり,現時点で世界各地に25の支部を開設している.これまでに40近くの国や地域で講習会を開催している.わが国でも2000年3月にRobin McKenzie氏自身が講師の一人として来日し,わが国における第1回マッケンジー法講習会を開催した.最もマッケンジー法講習会が盛んに行われているアメリカにおいては,全てのコースを合わせて年間120回あまりの講習会を開催している(2002年).この他に2年ごとにマッケンジー法国際学会を北米・欧州を中心に開催している.これまでに7回の国際学会を開催しており,最近(2001年8月)ではカナダのオタワにおいて第7回の国際学会を開催し,約500名の参加者が世界各地から集まった.
マッケンジー法に関する研究も,これまでに精力的に行われている.そして,マッケンジー法の有効性がより科学的な側面からも次第に立証されるようになってきている2-6).デンマーク厚生省は,1998年,これまでに発表されてきた脊柱に対するさまざまな研究を総合的に分析して,脊柱疾患に対するアプローチのガイドラインを発表した.その中で,特にマッケンジー法の診断・評価法の有効性が認められて,その使用が推奨されている.
翻って,わが国におけるマッケンジー法の知名度・認識度は高くない.むしろ,マッケンジー法に対する誤解が少なくないように思われる.本稿を通して,少しでもマッケンジー法に対する誤解が払拭され,一人でも多くの読者が,マッケンジー法に興味を持ってくだされば幸いである.
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