Japanese
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特集 感覚障害のリハビリテーションの現状
中途視覚障害者に対するロービジョンケア
Low-vision care in acquired visually disabled.
田淵 昭雄
1
Akio Tabuchi
1
1川崎医科大学眼科学教室
1Department of Ophthalmology, Kawasaki Medical School
キーワード:
中途視覚障害者
,
高齢化社会
,
ロービジョンケア
Keyword:
中途視覚障害者
,
高齢化社会
,
ロービジョンケア
pp.687-693
発行日 2002年8月10日
Published Date 2002/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109823
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はじめに
ロービジョンケア(以下,ケア)という語は視覚障害(以下,視障)者(児)のリハビリテーション(ハビリテーション)と同義で,この表現のほうが障害の種類をより直感的に受け入れやすく,分かりやすい.
平成13年6月に調査された厚生労働省の報告1)では,身体障害者手帳を交付された視障者(18歳以上)は30万1千人で,視障児(18歳未満)は4,800人であった.この手帳交付には,視力(片眼0.02以下,他眼0.6以下)および視野欠損の状態から判断されるが,現実には,さらに色覚異常,複視(眼筋麻痺など),眩しさ(差明)や夜盲なども日常生活の障害になる.このような手帳を持たない視障者(児)はその約2倍と推定されることから,全体として約100万人の視障者(児)が存在していると考えられる.
視障で「視覚の質」が悪くなると,歩行,食事,学業,就業,情報収集,その他,日常生活のさまざまな面で個々に応じたケアが必要となる.問題は高齢化社会にあって,高齢ゆえの眼疾患が増えていることや,以前から罹患している眼疾患で悩む年齢幅(期間)がますます広がって(長くなって)いることである.中途視障には,高齢者が「長期にわたって障害に悩む」という要素があることを強調したい.そのため,中途視障者のケアにおいては「早期導入」が最重要課題である.
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