Japanese
English
特集 視覚障害者のリハビリテーション
ロービジョンケア
Low vision services.
山縣 祥隆
1
Yoshitaka Yamagata
1
1山縣眼科医院
1Yamagata Eye Clinic
キーワード:
視覚障害
,
視覚障害リハビリテーション
,
ロービジョンケア
,
視覚補助具
,
カラー眼鏡
Keyword:
視覚障害
,
視覚障害リハビリテーション
,
ロービジョンケア
,
視覚補助具
,
カラー眼鏡
pp.1173-1178
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102653
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ロービジョンケアについて
厚生労働省の統計によれば,1996年11月の時点で視覚障害について身体障害者手帳を所持する人は30.5万人であるが,何らかの理由で手帳を所持していない人はそれ以上に多く,同等の視覚障害をもつ人は実際には約100万人いると推定されている1).そしてそのなかで完全に失明した人は約2~3万人で,それ以外の大多数の人は,何らかの方法で残った視覚を活用できる可能性のある人と言われている.そのような視覚障害者を「視覚を活用できない人」と考えず,前向きに「活用できる視覚をもつ人」と考え,ロービジョン(以下,LV)者と呼ぶようになった2).
眼科領域では旧来,眼科医療と視覚障害リハビリテーションとは別々のものという考えがあり,失明の告知を経てから福祉につなぐというシステムであった.しかしたとえ失明に至らなくても,ある程度の視力障害や視野障害によっても患者の生活には不自由が生じ,生活の質が低下する.そしてそのような患者に対しては,通院している眼科医療機関で生活の質を向上させるケアを行うことができれば効率的である.1980年代後半に欧米で,残った視覚が活用できるLV者については,眼科外来で患者の訴えをよく聞き,すばやく問題解決をしようという機運が高まった2).この動きがLVケアの始まりであり,直ちにわが国にもその概念が導入された.
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