Japanese
English
調査
重症心身障害児の死亡年齢とその原因の年次推移―重症心身障害児施設(高知県)における30年間の調査より
Chronological change of causes of death and life expectancy of the severely handicapped children: Report from the institute for severely handicapped children in Kochi.
江口 壽榮夫
1
,
中嶋 正明
1
,
小幡 太志
1
,
筒井 章夫
2
,
小槻 智丸
3
Sueo Eguchi
1
,
Masaaki Nakajima
1
,
Futoshi Obata
1
,
Akio Tsutsui
2
,
Tomomaru Kotsuki
3
1吉備国際大学保健科学部理学療法学科
2重症心身障害児施設土佐希望の家
3重症心身障害児施設幡多希望の家
1Department of Physical Therapy, School of Health Science, KIBI International University
2TOSAKIBONO-IE, Insutitute for Severely Handicapped Children
3HATAKIBONO-IE, Insutitute for Severely Handicapped Children
キーワード:
重症心身障害児
,
寿命
,
死因年次推移
Keyword:
重症心身障害児
,
寿命
,
死因年次推移
pp.369-372
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109743
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はじめに
日本国民の平均寿命は今では世界のトップクラスにまで急上昇し,その死因についても変化が見られるが,この傾向は重症心身障害児でも言えることなのであろうか.
彼等が緊急時の入院以外に入所することについては,過去を遡ると,児童福祉法で医療機関でもある肢体不自由児施設に,昭和39年9月12日に重度病棟の設置が決まり,全国の肢体不自由児施設に順次併設されてきたが,それでも重症心身障害児のわずかな者しか入所できなかった.また,入所できても18歳を越えての在所延長は難しく,ほとんどの者が家族の庇護と大きな負担の下,在宅生活を余儀なくされていた.そして昭和42年8月1日に児童福祉施設の2つ目の医療機関である重症心身障害児施設の設置が規定され,施設数や病床が増えるに従って,自宅から離れて,多くの対象児者の入所が可能となった.しかし,在宅と違って医療スタッフの常勤があるとはいえ,当初の重症心身障害児施設では,現在とは異なり,担当する医師や理学療法士,作業療法士の確保も不十分で,さらに重度・重複障害児を専門的に診療する医師や適切な訓練ができる療法士も少なかった.その後,医療の進歩とそれぞれの専門家の定着も絡んで,その死亡状況も時代と共に変わってきているはずである.
継続的な医療から縁遠く,記録も残っていない在宅者の死因と寿命の調査はできないが,重症心身障害児施設の入所者については,その記録の調査が可能である.
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