Japanese
English
調査
PGCモラール・スケールを用いた水俣病患者の主観的満足度についての検討
Analysis of subjective well-being in Minamata disease patients using PGC Morale Scale.
松本 美由紀
1
,
宮本 清香
1
,
臼杵 扶佐子
1
Miyuki Matsumoto
1
,
Kiyoka Miyamoto
1
,
Fusako Usuki
1
1国立水俣病総合研究センター臨床部
1Department of Clinical Medicine, National Institute for Minamata Disease
キーワード:
QOL
,
水俣病
,
主観的満足度
,
モラール・スケール
Keyword:
QOL
,
水俣病
,
主観的満足度
,
モラール・スケール
pp.81-85
発行日 2002年1月10日
Published Date 2002/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109672
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はじめに
水俣病1)は,1956年の公式発見以来,伝染病説や亜鉛中毒説などさまざまな説が流れ,原因物質究明に多くの時間を要した.1965年には新潟で水俣病発生,そして公式発見から12年後の1968年,「工場から排出されたメチル水銀に汚染された魚介類を食べることによって引き起こされた中枢神経系の疾患である」との政府の公式見解が発表された.
水俣病の主な症状は運動失調,言語障害,視野狭窄,聴力障害,感覚障害などの神経系の障害である.症状の発現はメチル水銀の曝露量,曝露期間や個人の感受性により異なる.また,これらの症状が急激に出現し,全身痙攣を起こした後,死に至る,いわゆる劇症型は水俣病発生当時にみられたが,現在では慢性の経過をたどる慢性型水俣病患者や胎児期に水銀曝露を受けた胎児性水俣病患者らが障害を抱えながら生活している.
現在,われわれは水俣病患者を対象にデイケアを取り入れた外来リハビリテーションや在宅訪問を行っているが,水俣病患者には他の神経疾患患者とは様相を異にする活動意欲の低下を感じることが多い.水俣病患者にはこれまで保障金問題や訴訟,差別といった社会的試練があり,これらは患者の心理面に何らかの影響を及ぼしていることが考えられる.そこで,水俣病患者のQOL(Quality of Life)を把握する作業の一環として,心理面をとらえるため,主観的満足度の調査検討を行った.
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