病院の広場
ドクターのモラールについて
河野 稔
1,2
1河野臨床医学研究所
2付属第3北品川病院
pp.13
発行日 1966年9月1日
Published Date 1966/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202919
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病院の近代経営が唱えられて十数年になり,厚生省の病院管理研究所や日病などの封建的,旧態依然たる病院の民主化への指導は,日本の病院近代化に大きい功績を残しておりますが,よくみますと全国7,700の病院中はたして何%くらいが民主化された近代病院に変貌しつつありましょうか。今日では近代化された病院とそうでない病院の格差は,ますますはなはだしくなっている寒心すべき状態のように思われます。特に私が昨年3月より20〜200床以下の病院の病院管理総合部会の世話役を橋本先生より仰せつかり,小野田先生などの指導で約1年半つづけてまいりますと,その感を深くいたします。
まず第1にドクター不足,ナース不足,臨床検査師をふくめたパラメディカルの人びとの不足は想像以上深刻で,このままの低医療費のもとでは人手不足の面で,中小病院は数年ならずして崩壊してしまうような感がします。しかし泣きごとをいっても致し方ないので自存自衛上,経営の合理化をはかり,収入をあげるより支出をつめて,営利性はないが少しでも収益性の期待される病院の経営へと近代化すべく努力をせねばならない。
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